近江商人の「天秤棒」には意味があります。
近江商人を研究する小倉榮一郎教授は、天秤棒を使った近江商法を三現主義という表現で説明しています。
三現主義とは、現地、現場、現物の3つの「現」を意味しています。
先ず、利潤源である物流コストの合理化を直接「現地」に足を運び「現場」で仕入売買をします。そのためにも「現物」を吟味する事が大切になります。
これが商人の三現主義です。
商人は、近江地方から子供のうちから父親と一緒に天秤棒をもって旅にでます。
その際、旅籠での宿泊人から色々な地方の話、また旅先での天候、政治など様々な情報を入手します。
天秤棒の両端には、片方に目的地までの簡単な着替えと帳簿をもち、もう一方には、商品見本を持っていくのが一般的です。
ただし、八幡の蚊帳などは持っていけないので、別送便として旅先に先に送っておくのが普通だそうです。日野の塗り物などは見本として持って行ったのでしょう。
こうして、「天秤棒商い」から得られる生情報は、近江に持ち帰り貴重な情報として商いに役立てていきます。
三現主義と天秤棒商いは近江商人の基本となっています。
勢和屋
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